イエ、ムラ、カイシャの縁が薄れた理由

流行語ともなった、現代社会を象徴する言葉「無縁社会」。

NHKでは同名のドキュメンタリー番組内で、
自殺等で死亡した人の中には身元が分からず
遺体の引き取り手のない「無縁死」が
3万2千件にも上る、という現実を報じました。

また、朝日新聞では単身世帯の増加と
高齢化社会の到来を迎え、
「個」に生き「孤」の問題と向かい合う人々の現実を
「孤族の国」と題してシリーズ化し、報道しています。

印象的なキーワードで
現代の問題点を指摘することは、
報道の特質であり、意義のあることだと思います。

ただ、「無縁社会」「孤族」という言葉からは、
家族や地域、仕事との「縁」を失えば
たちまち孤独になり、誰に頼ることもできないような
非常に閉塞的で虚無的なイメージを受けてしまいます。

旧来の「縁」に頼りたくない人が増え、
孤独のうちに老いや死の問題に
直面する人が増えていることは事実です。

しかしそれはそもそも、旧来の「縁」に頼ることより、
個としての自分を守りたい、高めたいと願う人々が
増加したことの表れでもあると思うのです。