住みかえ派か永住派か、価値観と将来予測で購入価格も変わる

支払い可能額と購入可能額の目安がわかったら、
具体的な物件選びに進みましょう。

その際には、ライフプランとの兼ね合いで
「将来予測をどこまで織り込むか」という視点が大切になります。

たとえば、夫婦と生まれたばかりの赤ちゃん1人の
3人家族がいたとします。

「2人目が生まれるかどうか、今はわからない」という場合、
どんな物件選びが可能でしょうか。
大きく2つのパターンがあります。

1つは「将来、家族が増えることを見越して
初めから大型の物件を買う」というパターン。

これは、1990年代後半頃から出てきた
「永住志向」の考え方です。

バブル崩壊で物件が値下がりを続け、
買いかえが難しくなるという風潮が広がっていた
時代背景を反映しているといえます。

もう1つは「将来はわからないので、
今の生活に合ったコンパクトな物件を買って、
必要に応じて買いかえて行こう。
もし、家族が増えなければ住み続けてもいい」というパターン。

2000年以降は、こうした買いかえも
できるようになっています。

どちらが正しいとか得という答えはありません。

買主の価値観次第です。

ただ、参考のためにマネープラン上の
シミュレーションをしてみました。

購入可能額が4600万円とします。

その最大値と一致する76m2の3LDKを買った(永住派)と、
それより1200万円安いコンパクトな2LDKを買った(住みかえ派)の
資金計画です。

計算してみると、(住みかえ派)のほうが、
月々の負担が約5万円も少なくて済みます。

次に、第2子が生まれて子どもが成長した10年後に、
(住みかえ派)が3LDKに買いかえるとしましょう。

10年間の総返済額は(永住派)よりも
600万円ほど少なくて済みましたので、
それを積み立てて貯蓄もできました。

価格や金利が変わらないとすると、
自宅を売却して、ローン残債や手数料を精算した後に
1000万円程度の手取り資金が残りますので、
それを頭金に(永住派)が最初に買ったのと同クラスの
4600万円の3LDKを購入しました。

毎月の返済額は、当初の(永住派)よりも低い水準です。

そんなに広くなくてもいいと、4000万円の3LDK(70m2)に
買いかえれば、もっと安くなります。

価格や金利がどう変わるか、
ローン返済が完了したときに
資産がどれくらい残るかは予測できません。

また買いかえる場合は、途中で自宅を売却するとき、
新たに購入するときにかかる諸費用がロスとなります。

とはいえ、毎月の負担を抑えながら、
いざというときの貯蓄をしつつ、
フレキシブルに住みかえて行くというパターンも、
今後は有効な選択肢の一つとして
検討してもいいのではないでしょうか。