評価すべきは最新テクノロジーより普遍性の高い居住性

住まいの本質とは外からの風雨や
外敵に煩わされることなく、
ゆっくり安心して休養し子どもを育てる
巣としての機能です。

そして時代の変化とともに、住まいは
炊事や、入浴、接客といった多様化した
生活を入れる空間へと変わり、
それに伴い様々な道具や設備が
導入されてきたのです。

現在のマンション市場はさらに進化し、
ついにはレジャーやスポーツ、
エンタテイメントといった非日常の生活までが
住居内に取り込まれ、エクササイズジムやプール、
パーティルーム、防音完備のスタジオ等の共用施設や、
ケイタリング、花の宅配などのコンシェルジュサービス、
TV・ミストサウナ付浴室やディスポーザー・食洗機・
IHクッキングヒーター付キッチンのある住戸などが
大規模物件を中心に装備され、
もはや標準仕様の感すらあります。

加えて、国を挙げて取り組む省エネに対応した
太陽光発電パネルなどエコ機器もいっせいに出揃い、
今年度の審査対象となるマンションの多くが、
住宅を高度なテクノロジーで機械化することで、
競争優位性を高めようとする傾向を強く感じます。

こうした共用施設や設備などを持つマンションは
あえて“もはや当たり前”のことになりつつあり、
よほど際立った差異のあるマンションは
希少性の高さを評価できますが、
それ以外は標準とみなすべきでしょう。

半面、10年も経てば陳腐化する
住まいの機械化に比べて、
住まいの本質に根ざした普遍性の高い
居住性を追求したマンションは
時を経ても価値は落ちないと考えます。