仮契約というものはない

よくありがちな誤解のひとつに
「仮契約」というものがあります。

これは、売買契約を締結して
手付金を支払ったときが「仮契約」で、
残代金を支払い物件の引き渡しを受けるときが
「本契約」といった解釈です。

しかし不動産の売買契約では、
特殊なケースを除いて
「仮契約」というものはありません。

はじめの契約自体が「本契約」そのものなのです。

「一括決済」という取引方法をご存知でしょうか?

これは不動産業者や一般法人、
あるいは投資家などが買主となる売買契約で
ときどきみられるものですが、
売買契約締結と売買代金全額の支払い、
物件の引き渡し、所有権の移転登記 手続きまでを
すべて同時に行なってしまう方法で、
「一発登記」などともいわれます。

いまのように不動産が高額でなければ、
これが本来の取引方法だともいえるでしょう。

ところが、一般的には住宅ローンの申し込みから
実行までの期間を要したり、
新築物件は建築工事の途中だったり、
中古物件は売主が明け渡すまでの
日数が必要だったりするケースが大半です。

そのためにこの「一括決済」の段取りのなかで、
残代金の支払いと物件の引き渡し、
それと登記の3つだけを後回しにしたものが、
広く行なわれている「契約〜決済 」の
取引方法なのだと考えることができます。