少子・高齢化は「買う」「借りる」どちらにもリスクがある

高齢化社会では、寿命の伸びほどには、
就業期間は伸びません。

たとえば平成21年の日本人の平均寿命が
男性79.59歳、女性86.44歳と、ともに4年連続で
過去最高を更新しましたが、多くの企業の定年は60歳、
延長しても5年程度。

働かずに暮らす期間が死ぬまでに25年超、
人によっては30年超もあるのです。

したがって、長寿命であればあるほど、
年平均所得は減少します。

しかも、家賃は昨今低下傾向にはありますが、
過去のトレンドから見て大幅に低下することはありません。

そうした中で、定年後も25年超の長い間、
家賃を払い続けなければならないとしたら、
貯蓄が目減りし続け、老後の暮らしに
不安を生じさせることになります。

一方、人口減少社会では、終身雇用、
年功序列型賃金制度は崩壊せざるを得ません。

なぜなら、企業内では賃金の高い高年齢の就業者数が
賃金の安い若年就業者数より常に上回ることになり、
人件費肥大により企業の収益を圧迫するからです。

しかも、企業はコスト競争を生き抜くために
経営状態に応じて、正規雇用者のリストラ、
積極的な非正規雇用を導入しており、
長期の住宅ローンを組んでマイホームを
持つことのリスクも生じさせています。

つまり少子・高齢化は、特に大都市に暮らす人々に
マンションを「借りる」にしても「買う」にしても、
それぞれに悩ましいリスクを生じさせているわけです。

だからといって、借りるVS買う、で
生涯の住居費比較をしてみても、
どちらが有利かは、色々な比較事例を
駆使しても甲乙つけがたく、答えはありません。