情報を正確に「読み取る力」を身につけましょう。

住宅メーカーはホームページやカタログに、
自社の住宅についてたくさんの情報を
掲載していますから、これらを一読するだけでも
かなりの量の情報を手に入れることができるでしょう。

しかし、これらの情報を正確に理解して、
他社との差異を把握している人は
どれだけいるでしょうか。

実は、情報を入手するだけでなく、
情報を正確に「読み取る力」が大切なのだと思います。

例えば、分譲一戸建てのパンフレットに、
住宅性能表示制度に関する
下記のような記載があったとします。

耐震性が高いのはA社とB社のどちらでしょうか?

・A社 「耐震等級2」を取得
・B社 「耐震等級3」相当


答えは、これだけでは「わからない」
「判断できない」というのが正解です。

住宅性能表示制度では、等級の数字が大きくなるほど
性能が高いことをあらわします。

ですから、「等級2」と「等級3」では、
当然、「等級3」のほうが耐震性は高いことになります。

しかし、注意深く見なければいけないのは、
「取得」と「相当」という言葉の違いです。

A社の「耐震等級2」を取得しているというのは、
建築基準法の耐震性の1.25倍の性能を持っていると
三者機関が評価しているわけです。

「耐震等級3」とは、建築基準法の1.5倍の耐震性で、
住宅性能表示制度の耐震等級において最高等級です。

B社は「認定」を受けているのではなく、
耐震等級3「相当」の耐震性があると
アピールしているに過ぎません。

客観的な評価ではなく、自己申告の性能。

本当に「耐震等級3」の性能があるかどうかは不明です。

A社のレベルははっきりしていますが、
B社の場合はひょっとすると「耐震等級1」相当かもしれません。

というわけで、これだけの情報では、
A社とB社の耐震性の優劣を判断するのは難しいのです。

けれども、B社よりA社のほうが信頼できそうな気がしますね。

住宅性能表示制度のメリットを享受するには、
きちんと「認定」を受ける必要があります。

しかし、費用や手続きの手間がかかるので、
実際には認定を受けずにB社のような
記載をしている会社もあるようです。

たくさんの情報を手に入れても、
正確に「読み取る力」がないと、
正しい判断はできません。

脅かすわけではありませんが、
B社のように「相当」と認定を
取得していないことがわかる記載なら、
まだ良心的なほうなのかもしれません。