住宅ローンの条件変更交渉は誠意をもって

いざ収入減に直面、あるいは失業などによって
住宅ローンの支払いが困難になりそうなときには、
できるだけ早い段階で住宅ローンを借りている
金融機関(旧住宅金融公庫 の直接融資や、
住宅金融支援機構のフラット35などの場合も、
融資窓口となっている金融機関)へ相談に行き、
条件変更(リスケジュール)の交渉をするべきです。

以前であれば、条件変更の交渉を伴う相談には
応じてくれなかったり、1度でも滞納をすれば
「“そいつ” はもう顧客ではない」と冷淡な対応を
されたりすることもあったようですが、
最近は逆に多くの金融機関が
「支払いに困った客への相談態勢」を整えるなど、
かなり柔軟な姿勢に変わってきている状況です。

※ 2009年8月18日、金融庁から
「住宅ローン等個人向け融資についても、
返済条件の見直し等を含め、
顧客の経済状況等を十分に踏まえた
対応を促すとともに、新規融資について、
顧客の経済状況等実態に応じた
きめ細かな融資判断を通じた資金供給の
円滑化等を促していく」といった
「主要行等向け監督方針」が示されています。

※ さらに2009年12月4日に
「中小企業金融円滑化法」(2012年3月31日まで)が施行され、
個人の住宅ローンについても
返済条件の変更等について
金融機関が積極的に対応するような
制度が整えられています。

自分が住宅ローンを借りている金融機関で、
具体的にどのような交渉に応じてもらえるのかは、
「実際に相談に行ってみなければ分からない」といった面も否めません。

また、現在の窮状がばれることで
優遇金利などの適用対象から
外されるケースも考えられます。

しかし、それらを懸念して相談を躊躇していても
何も解決できないばかりか、さらに悪い状況に
追い込まれかねませんから、
どのような結果になるにせよ、
まずは金融機関の担当者と
連絡をとってみることが必要です。

条件変更の内容としては、ボーナス返済の見直し、
毎月の返済額の一定期間減額、返済期間の延長の3つが
代表的なものです。

このうちボーナス返済の見直しには応じる金融機関が多いものの、
ボーナス時期の増額分を減額またはゼロにして、
それを毎月の返済額に振り分けるだけなら、
年間を通して考えればあまりメリットはありません。

しかし、ボーナス時期の支払いがきついというときには
検討をするべきでしょう。

毎月の返済額の一定期間減額は、
急場をしのぐには有効ですが、
減額期間が終わった後に返済額が上乗せされて、
再び支払いに窮することとなりかねません。

将来の家計の収支計画をしっかりと見直したうえで、
減額期間の交渉などをすることが大切です。

返済期間の延長は、収入が回復するまで
何とか乗り切ろうとするときには有効な手段でしょう。

ただし、返済期間が長くなることによって
総返済額はそれ相応に大きくなります。

収入が回復したら繰り上げ返済をするなど、
将来にわたって住宅ローンの見直しを
していくことも欠かせません。

なお、中小企業金融円滑化法の施行前において
この返済期間の延長に応じてくれる金融機関は
比較的少なかったため、法の適用期限終了後は
また以前の状態に戻ることも考えられます。

いずれにしても、条件変更(リスケジュール)によって
住宅ローンの債務が減るわけではありません。

しかし、支払いが困難なままで放置をすれば、
やがてマイホームを失うことになります。

支払いが苦しくなったらまずは金融機関に相談。

そして条件変更に応じてもらえそうだったら、
自分の支払い計画を明確にし、
完済への意欲や誠意を相手にみせることも必要です。

なお、住宅金融支援機構からは
“延滞が始まった客に対して”
支払い条件変更の提案をしてきます。

このようなときも相手からの提案を無視することなく、
すみやかに話し合いに応じるようにしてください。